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2020年コロナ禍というこの時代に、当時を回顧しつつ、新型コロナが収束し徳永英明さんのコンサートツアーをはじめ音楽を当たり前に楽しめる日々が戻って来ることを祈念して。

じゃすてぃ@管理人

2022/03/19 18:00

徳永英明さんの『鼓動』のメロディーラインの考察・分析(中編)

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前回に引き続き、『鼓動』のメロディーラインについて

作曲家・徳永英明に鋭く切り込まないコラムです。

前編に続き、これが中編になります。



前編はこちらになります。





さて。




覚えておられる方はほぼいらっしゃらないでしょうが、

今から20年前くらいになりますが

当時のコラムコーナーで、

徳永さんの【王道系メロディー】についての

私見を書かせていただいたことがあります。




この『鼓動』のサビのメロディーを語るうえで

どうしてもその【王道系メロディー】についてのうんちくを

今一度ひっぱりだしてまいります。




当時のコラムで徳永さんの作られる王道メロディーのサビを

ふたつのタイプに分類しまして、

そのうちの「ベータ型」と名付けたタイプがございました。



まずは、この【徳永英明王道系メロディー ベータ型】について

簡単に今一度ご説明いたします。




サビの部分に注目します。



サビは第1段目から第4段目まであり、

全部で16小節から構成されています。



説明の都合上、実際のキーではなく、

ト長調でご説明してまいります。

(シャープとかフラットが出てこないやつです)




まず、王道系ベータ型の第1段目は

F→G→C→Cというコード進行になります。

つまり、ドファラ→シレソ→ドミソ→ドミソ です。

楽譜白地 - コピー - コピー


これだけだと分かりづらいので

ベータ型の代表曲である『もう一度あの日のように』で

説明していくことにします。

歌詞を入れてみます。


楽譜白地 - コピー - コピー - コピー







次、第2段目。

第2段目は、第1段目のリピートになります。





ドファラ→シレソ→ドミソ→ドミソ。

コード進行もまったく同じ。

メロディーも基本同じです。


楽譜白地 - コピー - コピー - コピー - コピー



そして、第3段目へ。


第3段目も、同じくFから始まります。

聴いている側は、同じくF→G→C→Cのメロディーラインを

おのずと予想してしまうところです。




ですが!

作曲家・徳永英明がここに大きな仕掛けを用意しているのです。


楽譜白地 - コピー - コピー - コピー - コピー - コピー



11小節目です。

突然、Fというコードが仕組まれています。



そしてご存じの通り

♪かがやいていた~

のところが、サビの中での一番高い音になり、

一番盛り上がるところになっているのです。





同じメロディー(コード進行)が

三回リピートされるのかな~と思った瞬間の大きな変化。

第3段目の11小節目

ここの部分こそが王道系ベータ型の肝となる部分なのです。


・・・というわけで、

ベータ型のメロディーのまとめをしますと。





【王道系ベータ型の特徴】

1.サビは2段目まで同じメロディーが繰り返される

2.3段目も同じかなと思わせつつの11小節目で変化

3.変化を付けたその11小節目の一拍目に、一番高い音が配置される(盛り上がる箇所)





この三つが王道系ベータ型の特徴となります。



他に王道系ベータ型に分類される曲は

『僕のそばに』

『Melody―永遠の鍵―』

『愛をください』

『大宇宙』

『セレブレイション』

などがあります。




どの曲も、第三段目の11小節目に

大きな変化が用意されています。







そして、ここで話を『鼓動』に戻します。

『鼓動』のサビ。



第一段目は、

F→G→C→Cという

ベータ型の典型的なコード進行です。




ベータ型の曲、個人的に大好きなんです。



♪きみが~ のりこえた~

と、F→G→C→Cのコードが展開された時点で、

おおこれは!っと思ってしまいました。(初聴きのとき)

抑えきれない胸の高鳴りを感じてしまったものです。




♪ふあんや~ くなんは~~

ここでちょっとメロディーに変化をつけていますが

コードとしてはF→Gの枠内での変化。

上を歌っているっていうのでしょうか。

とても心地よい。

鼓動楽譜



そして、ベータ型の特徴の極み。

第三段目へと突入していくのです。




ですが、『鼓動』のサビの第三段目・・・



作曲家・徳永英明の仕組んだ仕掛けが

なんとも心地よくファンの予想を裏切ってきます。




二つの仕掛けがあるんです。


まず、ひとつめ。

本来のベータ型であれば、

第11小節目に大きな変化が用意されています。




ですが、『鼓動』は、

それより一小節早く

第10小節目で仕掛けてきます。



第10小節目というタイミングで仕掛けてくるというのは

これまでの徳永史で例がない(はず)です。(多分)



鼓動楽譜 - コピー




そして、もうひとつの仕掛け。

その10小節目で待っているのが

「E7」というコードだということ!




本来、ベータ型では、

ここにはGというコードが待っているはずなんです。

ソ・シ・レの音階です。





Eというのは、ソのシャープ。

ソ#・シ・ミ

つまり半音高い音になるんです。

ん?というちょっとした不安定感を覚えるはずです。











『鼓動』のサビの大きな仕掛けというのは、

徳永ファンが慣れ親しんでいる本来のベータ型より

一小節早く変化をつけてきていること。



そして、その変化というのが、

おのずとソを予想している徳永ファンにとっては

突如奏でられるソ#という音に

なんとも心地よい裏切りを感じさせること。




第10小節でE7という半音上がったイレギュラーなコードを入れ込んできて

おやおやっと感じているうちにその第10小節の中で

♪ひーとーつが~

っという箇所で一番高い音に到達してしまいます。




ファンじゃない方にとってはなんともないことかもしれませんが

『もう一度あの日のように』や『僕のそばに』など

知らず知らずのうちに刷り込まれている

ベータ型の王道展開からすると

絶妙なずらし加減というのでしょうか。







鼓動楽譜 - コピー - コピー


もうお分かりかもしれませんが、

前回の更新のAメロでつづったのと同じく

第11小節目の黄色で記した箇所。




第10節目のE7という意表を突くイレギュラーな展開から

この第11小節目の

♪つなが~ってぇ

のところ。



この第11小節目で、安定感のある心地よいコードに

徐々に、なんとも自然に、引き戻されていく心地よさ。

この部分のメロディー展開も秀逸で

なんとも極みなんですね~。





ベータ型が刷り込まれている徳永ファンであればあるほど

10小節目~11小節目が心地よく染みわたって入ってくるはずなんです。

本当にファン心を逆手にとった(?)

絶妙な裏切りとでもいいましょうか

ファンには心地よくてたまらないメロディー構成。







ふー、なんかいろいろと書きましたが・・・

はたしてどれだけ伝わっているのでしょうか。




・・・まだまだ綴りたいことがありまして、

今回を「中編」とし、次回を「後編」とし、

次回に続くこととします。



去年の12月頃から仕事がとても忙しくて

なかなか更新の時間がとれませんが、

「後編」を次回は綴らせていただきます。






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